「見える化」を通じ、全員がムダな電気を使わなくなった[Case486]

1968年創業の同社は年々受注件数が増えており、使用電力量・契約電力は増加傾向にあった。それまでも加工機の起動時間をずらすなど、デマンド管理対策は実施していたが、上がり続ける光熱費を抑えるために、電気の「見える化」を積極的に活用している。先頭に立つのは2022年に跡を継いだ青木和也氏だ。「計27台の金属加工機があります。生産に必要な電力は止めませんが、たとえば以前はすぐ作業に入れるよう加工機の電源を入れて待機させていましたが、現在は止めるなど、徹底的にムダを排除しています」。SMART CLOCKが黄色く光り始めるとスタッフは止められる加工機がないか探す。

小ロット部品の作業場では、人がいないときは消灯が原則。なお、窓に近いスペースは照明を外し、自然光のみを使っている。完成品の検品室でも昼間は自然光が基本だが、細かな傷やバリをチェックするときは、デスクライトで検品する。また、事務所や食堂の照明と空調稼働は極力抑えている。「照明はLEDなのであまり低減効果はないかもしれないのですが、生産・加工業務以外でムダな電気を使わないように徹底しています。スタッフも昨今の状況は理解しているので協力してくれますね」。

同社は現在、加工機の見直しを進めており、老朽化したものを適宜新型に入れ替えている。「新型加工機は消費電力が減るので経費低減の効果が高いですね。ただ、加工内容や種類によっては簡単に入れ替えられない加工機もあります。費用と効果を比較しながら慎重に判断します」。品質を確保しながら、できる範囲で自らが工夫し、ムダをなくす。そのためにできることを探し続ける同社。その挑戦に終わりはない。