省エネ活動は、人として成長する1つの手段である[Case363]

春蘭の宿 さかえや

長野県下高井郡山ノ内町

旅館・ホテル・宿泊業

中部

従業員21~50名

ガス・水道関連

スタッフの連携

スマートメーターエリア

機器稼働の見直し

省エネの達人『企業編』

空調管理

設備改善

電力コンサルティング

細い路地と石畳の情緒ある街並みが広がる湯めぐり発祥の地「渋温泉」。長野県奥信濃に「春蘭の宿 さかえや」がある。源泉掛け流しの湯と信州の食材を使用した懐石料理を堪能することができ、癒しのときを求めて全国からお客さまが訪れる。2015年、同旅館は日本一輝く旅館として「旅館甲子園」で優勝を果たす。代表取締役の湯本晴彦氏は、障がい者や不登校の学生を対象に就労支援を行っており、同イベントでは旅館業務を通じて得たスタッフの気持ちの変化に焦点があてられた。本人や保護者からは、人としての成長を実感した喜びの声が寄せられる。「春蘭の宿 さかえや」ならではの取り組みについて、省エネの視点から話を伺った。

見える化がもたらした省エネ成功のポイント

ものを大切にする心が省エネの第一歩

旅館のスタッフは、トイレを素手で掃除している。限られた水と洗剤しか使わないことで、効率的な行動とものを大切にする心を学ぶ。また、チェックアウト後はすぐに客室の照明や空調をオフにするなど、清掃中も節電を心がけている。さらにスタッフ各自が考えた省エネアイデアを書き込んだ付箋を貼り出すことで情報を共有し、みんなで実行。そうした取り組みの結果、使用電力量約10%低減という成果を生み出した。

  • 灯油の削減を電気に応用
  • お客さまの動線に沿った空調稼働
  • トイレ掃除から得た波及効果
  • 省エネはスタッフの成長における手段

導入効果

導入時期 2013年5月(取材時期 2016年4月)
契約電力 114kW(2013年)⇒ 103kW(2016年)
9.6%DOWN!
使用電力量 421,202kWh(2012 年6 月~2013 年4 月)
⇒ 379,162kWh(2015年6月~ 2016年4月)
9.9% DOWN!

灯油の削減を電気に応用

「先代の頃から電圧を下げる節電器を導入するなど、以前から省エネは意識していました。ただ、その節電器が電力を多く消費していたなんて...」と昔話を笑いながら話すのは、代表取締役の湯本晴彦氏。そうした省エネ意識は電気ではなく、まず価格が高騰していた灯油へ向けられた。空調は冷房、暖房ともにボイラーによる稼働だったが、暖房に比べ稼働率の低い冷房に同じ設備容量が適用され非効率だった。2007年、補助金を利用して太陽熱温水器とエコキュートを導入し、暖房は灯油、冷房は電気による稼働に切り替えた。「新設備の導入による効果測定に向け行政に熱量データを提出すると、エネルギーの使用傾向を把握できるようになり、これを電気にも適用したいと考えました」。

補助金を利用して導入した太陽熱温水器

お客さまの動線に沿った空調稼働

2013年5 月、SMARTMETER ERIA を導入。電気稼働に移行した冷房が、デマンド値を引き上げてしまったため、電力ピークの制御に注力した。2~3階のレストラン、個室会場を開放する食事どきに警報が鳴る。施設内で最も消費電力が高いチラーを数分間止めることで大方警報は鳴り止むが、食事を終えた個室会場から順に空調を切り、稼働が重ならないよう対策をとっている。同様にチェックアウト時も、お客さまが出発した客室から照明と空調を止めるようになった。こうした取り組みにより、冷房がボイラー稼働していたころと同等までデマンド値が低下。また、照明スイッチには5種類のカラーシールを貼り、時間帯に応じた点灯箇所をわかりやすく表示することで、スタッフに無駄のない電気の使い方が定着した。

カラーシールが貼られた照明スイッチ

トイレ掃除から得た波及効果

同旅館ではトイレ掃除を素手で行っている。湯本氏の「嫌なことから逃げず向き合ってほしい」という思いのもと始めた取り組みだった。当初スタッフは抵抗があったと話すが、限られた水や洗剤を使い、いかに効率的に作業するかということを考えるようになったという。また、お客さまに取り替えの手間をとらせないよう、トイレットペーパーは一定の直径を下回ると客室から回収し学校へ寄付。トイレ掃除をきっかけにおもてなしの心をはじめ、モノを大切にする姿勢、業務の見直しなど、さまざまな気付きを得ることができた。さらに古くなった浴衣は和裁学校へ提供し、草履づくり体験にも活用するなど"ものの性を尽くす"活動が広まっている。

効率的な作業を心がけた素手でのトイレ掃除

省エネはスタッフの成長における手段

こうした活動は意識的に行っているのではなく、すでに業務の一環として成立していると話す湯本氏。部署の垣根を越えたジョブローテーションを行い、調理場を含めたスタッフは、省エネ、リサイクルの取り組みについてすべて把握しているという。「当館のスタッフは、自分の担当業務さえこなしていればよいという考えではなく、さまざまな業務を経験し全員で旅館をよくしていこうとする士気の高い集団です。省エネは経営者の視点としては、確かに関心があります。しかし、経費削減のために省エネを行うのではなく、モノを大切にする心を養うこと、スタッフが人として成長する手段の1つとして、省エネがあればいいと思っています」。

一人ひとりの省エネ意識がつくる快適な客室

省エネの達人『企業編』で放映されました!

テレビ番組 省エネの達人『企業編』で取り上げられました。
クリックで動画再生します。(4分00秒)

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代表取締役 湯本晴彦氏

企業概要

事業内容 温泉旅館
従業員数 32名
所在地 長野県下高井郡山ノ内町
URL http://www.e-sakaeya.jp/

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  • 電気になじみのない方でも直感的にわかるよう、ニコちゃんの表情で使用状況をお知らせします。スマートクロックのコントロールパネルとして、電力使用の目標値の設定などさまざまな操作を行えます。

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