院内の“ラウンド”がピーク対策の日課[Case267]

医療法人社団哺育会 横浜相原病院

神奈川県横浜市

医療・福祉関連

関東

従業員301名以上

スタッフの連携

スマートクロック

スマートメーターエリア

夏の取り組み

機器稼働の見直し

照明関連

省エネの達人『企業編』

空調管理

電力コンサルティング

神奈川県横浜市にある横浜相原病院は、思春期メンタルヘルスから高齢者疾患まで対応する精神医療の専門病院。埼玉県を中心に40カ所以上の病院や介護施設を展開する上尾中央医科グループ(AMG)の関連施設として、診療はもちろん、教育機関への講師派遣や実習受け入れなど、「診療」「研究」「教育」の3本柱を掲げた運営を続けてきた。同院で進める省エネ活動の様子を総務課課長の池田明弘氏に伺った。

見える化がもたらした省エネ成功のポイント

5分間の空調操作が省エネのカギ

およそ400名のスタッフが働く同病院では、電力ピークである朝9時から10時の間にすべての空調を消してからまたつけるという作業をしている。最上階から1フロアずつ空調を停止し、もう一度最上階に上って再び点ける。その作業時間は5分。フロアの移動時間を上手に活用し、この作業を行うことで契約電力を約10%改善。患者さんやスタッフにとって快適な環境づくりをしながら省エネ活動することができた。

  • 独自の省エネ活動を実施
  • 2往復の"ラウンド"でピーク対策
  • 使用電力量の削減にも積極的に
  • 温故知新を忘れずに

導入効果

導入時期 2013年3月(取材時期 2014年5月)
契約電力 302kW(2012年)⇒271kW(2014年)
10.2% DOWN!
使用電力量 146万612kWh(2012年4月~2013年3月)
⇒130万9,591kWh(2013年4月~2014年3月)
10.3% DOWN!

独自の省エネ活動を実施

横浜相原病院では、電気の「見える化」を導入する以前から、さまざまな省エネ活動に取り組んできた。総務課課長の池田明弘氏は導入前を振り返りこう話す。「東日本大震災以降は特に職員の省エネ意識が高かった。全館の照明もLEDに入れ替えて、これ以上の省エネ成果を出すことは難しいだろうというところまでがんばってきました」。しかし日本テクノから電気の「見える化」の活用法や、電気代の仕組みについて詳しい説明を聞くうちに、さらに一歩進んだ省エネ活動の可能性を感じることができたという。2013年3月にSMARTMETER ERIA(以下、ERIA)とSMART CLOCKを導入。しばらくは使用量の落ち着いた状態が続いていたものの、6月に入り空調を使用する機会が増えると警報が頻繁に鳴るようになった。そこで、本格的な暑さを迎える前に、日本テクノの担当者による勉強会を実施し、あらためて省エネの方法を病院全体に周知していった。

2往復の"ラウンド"でピーク対策

電気の使用状況を見ていくと、電力ピークは朝9時から10時の間に集中している。同院では8時45分の就業時間から徐々に各部署が動き出し、空調利用や、厨房では昼食の準備、病棟では入院患者の入浴介助などが始まる。
当初は警報が鳴ると、総務課から各部署へ連絡を入れ、現場の担当者に空調の温度調整などをお願いしていたものの、これでは部署によって対応にばらつきがあり、確実なデマンド対策とはならなかった。そこで、池田氏はデマンド値の確定する30分単位に着目。確定10分前の9時20分と9時50分に総務のメンバーが各階を周回する。「10分の間に2名で手分けをして全館を回り、空調を止めていきます。さらに2往復目で点けて回ります。この見回りは"ラウンド"と呼ばれ、今では総務課の日課として定着しています」。こうすることで、302KWだった電力ピークを271KWまで抑えることに成功した。

使用電力量の削減にも積極的に

電力ピークの対策と並行して、日常的な省エネ対策にも注力している。エレベーターホールでは時間帯によって照明と空調をオフ。エレベーターも利用者の多い時間を除いて、平日の13時30分~17時30分の間は2台のうち1台を使用停止にしている。さらに、職員のエレベーター使用は原則的に禁止。事務室やナースステーションなど職員専用エリアでは、3分の1程度の照明を間引きしたうえで、昼間の明るい時間帯(12時~14時)は消灯し、空調の温度は夏26℃・冬22℃に設定し、扇風機と併用する。
これらは震災以降継続してきた取り組みで、ERIA導入後にはさらに、屋上にある室外機へ朝・昼の散水も実施するようになった。また昨年の夏には事務室の窓に、直射日光を防ぐためのすりガラスタイプの塗料を塗ってすだれも設置した。「すだれは風で飛んでしまい、うまく設置できなかったので、今年はグリーンカーテンを計画しています」と池田氏は試行錯誤の様子を話す。

温故知新を忘れずに

同院ではこうしたさまざまな省エネの取り組みについて、月曜と金曜日に行われる朝礼で情報を共有し、その成果報告も行っている。「院内にはポスターなどを貼って省エネを呼び掛ける工夫もしています」。最近では業務円滑化に向けて掲げている月々の目標にも省エネに関連するものが多く出るようになってきたという。「たった5分、たった一個の気持ちから大きな節約。みんなで協力」。これは、電力ピークの対策に協力する職員が提案してくれた目標だという。ERIA導入から1年が経過し、今後も光熱費前年比3%低減を目標に、ピーク対策のラウンドを増やすことや、室外機への散水を担当制にすることなどを検討している。
池田氏は「うまくいかないこともありますが、継続するなかで見えてくるものがあります。温故知新の精神で、一つ一つの取り組みを改善しながら続けていくことが大切だと考えています」と展望を話す。効果的な取り組みに向け、設備の見直しも含めた積極的な改善が続いていく。

省エネの達人『企業編』でも放映されました!

テレビ番組 省エネの達人『企業編』で取り上げられました。
クリックで動画再生します。(4分00秒)

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総務課長 池田明弘氏

企業概要

事業内容 病院
従業員数 410名
所在地 神奈川県横浜市
URL http://www.yokohama-aihara.jp/

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