和歌山県湯浅町にある丸新本家は、古式製法と国産原料にこだわった醤油や金山時味噌を製造している。敷地内には醤油・味噌それぞれの製造工場と、醤油製造の見学コース、販売所などが設けられている。味噌工場に導入したSMARTMETER ERIA(以下、ERIA)とSMART CLOCKを活用した省エネ活動について、同社の新古敏朗氏と湯川福雄氏に話を聞いた。
見える化がもたらした省エネの成功ポイント
デマンド対策のカギは月に3日の麹室稼働日
味噌の仕込み期間には毎月3日間麹室を稼働し、発酵を促すために冷却装置で麹の温度を35度以下に保つ必要がある。この作業が電力ピークの原因となっていた。そこで使用電力量を抑えるために、この3日間は精米作業の時間帯をずらすなど、作業を分散させることでピークカットを実現。さらに必要に応じて休憩室の空調を停止し、電気設備の使い方を見直した。
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半信半疑からのスタート
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仕込み期間は要注意
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看板の光の当て方に一工夫
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「見える化」でコミュニケーションが生まれる
導入効果
導入時期 | 2013年8月(取材時期 2014年11月) |
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契約電力 | 79kW(2013年)⇒ 59kW(2014年) 25.3%DOWN! |
使用電力量 | 223,944kWh(2012年6月~2013年5月) ⇒180,813kWh(2013年6月~2014年5月) 19.2%DOWN! |
半信半疑からのスタート
丸新本家が電気の「見える化」による省エネ活動を始めたのは2013年8月。同社の新古敏朗氏は当時の様子をこう話す。「当初は本当に電気代が下がるのか半信半疑。また電気を使いすぎたら勝手に電源が切れるような仕組みがあれば楽に省エネができるのに、とも思っていました」。ERIA導入前から空調の設定温度を調整するなど、省エネのことは意識していた新古氏。しかし、そうした意識をもっているのは社内の一部の人に限られており、取り組みも電気料金の大きな低減にはつながっていなかった。
そのような状況のなかで、すでにERIAを導入している経営者仲間から電気の「見える化」の紹介を受け、高圧受電契約をしている味噌工場での導入を決めた。
仕込み期間は要注意
電気使用量を確認してみると、デマンド値は夏場の午後を中心に高くなっている。また月間グラフを見ると使用量が特に上がるのは、月のうちでも数日程度。新古氏は工場長の湯川福雄氏とともに、この期間の作業状況を振り返り、味噌の仕込み期間と電力ピークが重なっていることに気がついた。「味噌の仕込みは夏場だと1ヵ月に1度だけなのですが、作業は3日間続きます」と湯川氏。仕込み期間の大半は、麹の発酵を促すために麹の温度を35度以下に保っておく必要があり、この作業に使用する扇風機や冷水チラーが電力負荷の原因となっていた。
そこで同社では、仕込み作業中にSMART CLOCKの警報が鳴ると、工場だけでなく事務所にも協力を仰ぎ空調を一時的に止める。また大型機械を使う精米作業は、仕込みの前日や、空調利用の少ない夕方以降に行うなど、作業を分散させることでピークを抑えた。新古氏は「それでもデマンドを抑えられないときには、冷凍庫の電源を一時的に切ることもありました」。こうして月に数日間の集中した対策で、契約電力を20kW低減することに成功した。
看板の光の当て方に一工夫
電力ピークの対策と並行して、使用量低減についても、作業場では人のいない廊下をこまめに消灯、電動フォークリフトの電源を作業時のみ入れるなど、ムダ遣いをなくそうとする意識が芽生えていった。また同社では味噌工場とは別棟に醤油の製造見学コースが設けられており、平日でも多くの観光客が足を運ぶ。そこでコースの照明に人感センサーを導入し、不定期に訪れる見学者の動きにも対応できるようにした。
新古氏は店舗の入口にある大型の看板外灯にも一工夫。以前は40Wの蛍光灯を約50本使用していたが、現在は67WのLED照明4本のみでまかなっている。看板に内蔵していた照明を、外から照らすタイプに変更。看板自体は変えずに光を照らす角度を工夫することで、使用電力量を大きく低減した。また少ない本数ながらLEDを使用することで、これまでよりも看板が明るくなったという。
「見える化」でコミュニケーションが生まれる
ERIA導入から2年弱。味噌づくりにとって仕込みの3日間は、命ともいえる大切な期間であり、決して電気を止めることはできない。難しい状況のなかで、作業工程の見直しや、その他の電気設備の使い方を考えてきた。新古氏は、「当初考えていたように、省エネ活動を機械まかせにしていたら、今でも使い放題だったかもしれません」。SMART CLOCKの色や、ERIAの表情が変わることで、従業員の間でも、どこを消したらいいだろう?という会話やコミュニケーションが生まれる。省エネの意識がERIAを導入した味噌工場だけでなく、見学コースや販売所、事務所などすべての従業員に広がった。
同社では太陽光パネルも導入しており、発電した電力の一部は施設内で活用している。新古氏は、今後も限りある資源を有効的に利用していきたいと展望を話してくれた。
省エネの達人『企業編』でも放映されました!
テレビ番組 省エネの達人『企業編』で取り上げられました。
クリックで動画再生します。(4分00秒)
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湯川福雄氏、新古敏朗氏
企業概要
事業内容 | 醤油・金山寺味噌 製造販売 |
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従業員数 | 10名 |
所在地 | 和歌山県有田郡湯浅町 |
URL | https://www.marushinhonke.com/ |
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導入商品・サービス
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電気になじみのない方でも直感的にわかるよう、ニコちゃんの表情で使用状況をお知らせします。スマートクロックのコントロールパネルとして、電力使用の目標値の設定などさまざまな操作を行えます。
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