凡事徹底の教育方針が「見える化」を後押し[Case509]

熊本県熊本市にある熊本看護専門学校では50年にわたり地域医療を支える人材を輩出してきた。「見える化」導入のきっかけは2022年、当時電力の供給を受けていた新電力から電気料金値上げの連絡を受けたことだった。「年換算で倍額以上になるということで困っていたところに日本テクノの方が訪問してくれたので、電気代を下げる方法はないか相談しました。省エネに力を入れたかったこともあり"見える化"を導入することにしました」（事務長 林田敏彦氏）。電力の供給契約も2023年現在は日本テクノに切り替えている。

校内の照明の3分の1をLEDに変更するとともに「見える化」の活用を開始。理事長が経営する病院で他社製品を導入していたため、職員の間に抵抗はなかった。林田氏自身は以前からデマンド値を意識していたが、ほかの職員にうまく伝えられず実際の省エネ行動に移せていなかった。「SMART CLOCKを事務所に設置したことで、誰でも一目で電気の使用状況が分かるようになりました。今では皆が時計を意識していて、黄色く光ったら校内の見回りと不要箇所の消灯を徹底するなど省エネが日常生活の一部になっています」（林田氏）。

オープンキャンパスがある7月と冷え込む1・2月はどうしても使用電力量が多くなる。せめてデマンド値が上がらないよう、段階的な空調の立ち上げやこまめな消灯は欠かせない。空調の温度設定も基本的には中央管理で、教室単位では極端に強められないようにしてある。省エネが勉学に支障をきたすことがあってはならない一方、同校では実際の医療の現場でも凡事徹底が大切であると考えている。授業後には空調・照明を消し、窓を閉め、校内を掃除するよう学生に指導。一貫した教育方針が結果的に現在の省エネ取り組みにも直結している。