
「今月のことば」...最近話題の環境・エコ・省エネに関することばを解説します。
近年、大規模な森林火災が世界各地で発生しています。皆さんもニュースなどで見覚えがあると思いますが、2019年から続いていたオーストラリアの火災では、日本の面積の約3分の1にあたるおよそ1,200万ヘクタール以上の森林が火災で焼失しました。そのほかにも、2019年以降、これまであまり例のなかった北極圏に近いシベリアやアラスカで森林火災が多発しています。
森林火災とは、山や森林で広範囲にわたって発生する火災のことで、山火事や山林火災とも呼ばれます。森林火災の原因には自然発火と人為的要因の2つがあります。
自然発火とは、雷や火山の噴火などにより発生する森林火災です。この森林火災は昔から起こっていた現象で、成長した森林が火災により焼けることで新しい樹木の誕生を促し、多様性を維持するために必要なことと考えられています。
一方、人為的要因とは、焚き火やタバコの火の不始末、放火、焼畑農業といった人間の営みによるものです。
先程のオーストラリアの森林火災は、なぜここまで燃え広がったのでしょうか。原因はどうやら地球温暖化と関係があるようです。オーストラリアを例に取りますと、2019年は観測史上もっとも気温が高く、平年を約1.5度上回りました。また降雨量も平年と比べて4割少なかったといいます。
このような高温かつ乾燥した状況で雨を伴わない雷「ドライライトニング」が森林に落ち、自然発火による火災が発生しました。ドライライトニングによる森林火災は、アメリカ・カリフォルニア州でも多く発生しています。気候変動が進めば乾燥した地域はより乾燥し、火災が起こりやすい状況になっていくものと考えられます。
また、国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)も、報告書のなかで地球温暖化が森林火災を増加させていくと警鐘を鳴らしています。本来ならばCO2の減少に大きく貢献するはずの森林が、火災によってCO2を増加させる原因となっています。