スマートクロック開発秘話

Story

時計を見る自然な習慣に電気の情報をプラス

SMART CLOCK(以下、スマートクロック)の発売開始は2011年5月。当初は時計の外周部にLEDを設置するのみでした。2014年には、温度・湿度の表示機能を搭載し、2017年には有機ELによる文字情報の表示機能を搭載しました。2024年に現行の有機EL2段タイプに進化しています。
販売開始以来、電気を「見える化」するツールとして進化を続けてきた当社の主力商品スマートクロック。社員やお客さまの声により改良を続ける裏には、開発メンバーの血の滲むような努力がありました。

誰もが、遠くからでも電気の使用状況をわかるように

以前、当社の『SMARTMETER ERIA』には、30分ごとの電気の使用量(デマンド値)の推移を示す「Show Ene Bar」という表示機能がありました。

この「Show Ene Bar」を誰でも、どこにいてもわかるようにする方法はないかと考えた結果、仕事中に頻繁に目にする時計に組み込むのがよいのではないかという案が挙がり、これが『スマートクロック』開発につながりました。
第1号機から多彩な光を表現するフルカラーLEDを採用。理解されやすい表現方法を工夫しました。

  • SMARTMETER ERIA(スマートメーターエリア):電力の使用状況を「数値」とニコちゃんの「表情」で「見える化」する環境指向型多機能モニター付きデマンド警報器。SMART CLOCKの各種設定はすべてこちらで行います。

お客さまのニーズに合わせて有機EL表示を2段へ

以前はスマートクロックの有機EL表示は下の1段のみでした。しかし、当社の「市場連動型」の料金プランをお申し込みいただいているお客さまに対し、現時点の使用電力量にくわえて現在の市場価格もわかるようになれば利便性が向上すると考え、有機EL表示を2段に増やしました。

さらに有機EL表示を2段に増やした際に、有機EL表示の前を分針が横切っても表示情報が読み取れるよう、分針を半透明の素材に変更しました。こちらは当社社員がアイデアを提案し、採用されました。

見たことある?スマートクロックの内側を公開!

音声は元々、生の声を収録していた

設定時刻に流れる省エネや勤怠についてのアナウンス。当初は声優さんがひとつひとつ声をあてていました。そのため音声メッセージの入れ替えのたびに収録する必要がありひと苦労でしたが、現在はAIの音声に切り替えています。

LEDは60個の点

使用電力量や市場価格、秒針を表現する美しいLEDのライン。カバーの下のLEDそのものは小さな点なんです。消費電力量の少ないダイナミック点灯方式で省エネを実現。すべて点灯させても一般的なスマートフォンの充電器(5W)と同じくらいの電力で使用できます。

拡散板がイイ仕事してます

カバーの内側には、それぞれのLEDライトの上に60個の拡散板という部品が装着されていて、これがライン状の光を実現しています。どんな角度から見てもきれいに光るように、ライトからの距離や湾曲は計算し尽くされています!

スマクロベースには配線のガイドラインを記載

スマートクロックを壁面に取り付けるための「スマクロベース」(土台となる盤面)には、何をどう配線するかが立体プリントされています。入社間もない社員や新しい協力工事会社が対応してもスピーディー、かつ設置品質を維持するためのひと工夫です。

開発陣を長年悩ませた時刻ずれ問題との闘いの歴史

  1. Phase

    01

    時刻ずれ発生率30%

    スマートクロックは電波を受信して時刻を表示する電波時計。設置環境や周囲の機器の影響で電波を受信せず、時刻がずれていく…という問題が起きていた。
  2. Phase

    02

    時刻ずれ発生率15%

    ACアダプターからのノイズも時刻ずれの原因。解決のため電池式に切り替えると安定した電波受信が可能となるも、一部では時刻ずれが続く…。
  3. Phase

    03

    時刻ずれ発生率5%

    内部に時刻情報電波発生装置を組み込み、基地局の電波よりESの時刻情報を優先させるという手法も採用されたが、それでもすべては解消せず。
  4. Phase

    04

    試行錯誤の末2023年に!時刻ずれ発生率0%

    自社で耐久性・起動性に優れたステッピングモーター※1式の新モジュール※2を開発!長きにわたる闘いにようやく終止符が打たれたのである。

    • ※1
      制御モーターの一種。時計のように一定の角度ずつ動いて回転する
    • ※2
      時計の部品の1つで、電子式のムーブメントを指す
    • 2023年9月現在

当時のキーパーソンが明かす開発秘話

色、形、素材、プログラム…究極の見える化と理解(わか)る化へ!

ERIAモニターに内蔵されていた「ShowEneBar」を、誰でも遠くからでも気付けるようにできないか?という問題提起から始まった新商品開発。表現手法として、誰もが自然と見る「時計」を思い付いた馬本社長の発想力には脱帽しました。時計なら30分ごとのデマンド制も理解しやすいです。
時計型にすることが決まり実際の開発に着手しましたが、こだわったのは「色」の表現。赤・青・緑の3色を混ぜて発光させることで多彩な光を表現するフルカラーLEDを採用し、理解されやすい光り方や色合いを模索しました。
(第一保安部 K.Y.)

色々な試作機をつくりました

幻の限定モデル(黒い文字盤)、業態にあわせた花柄や木目調などの文字盤デザイン、総液晶表示…提案と却下の繰り返しで今のスマートクロックができ上がっています!

有機ELタイプのコンセプトを提案

技術サービス部での現場経験を活かし改善要望を頻繁に提出していたら開発会議にメンバーとして参加することになりました。現場目線でソフト・ハード両面の品質改善に取り組み、大きな成果としては現行の有機ELタイプのコンセプトを採用いただきました。その他、「カバー内に虫が入る」などの細かい問題提起を経て、品質管理課を新設する提案も行いました。時刻ずれ問題については、疑似電波を利用してスマートクロック内部に時刻情報を発信するよう方式を改善。発信方法も無線・有線と手法を変更するなど、試行錯誤の日々でした。
(内部監査室 A.T.)

多くの人の協力で実現したLEDベゼルの原型

スマートクロック開発期の技術本部長でした。馬本英一社長の思いを実現する手法はないものかと、相模原商工会議所の知人の協力のもと作り上げたのが省エネバーの試作機。そこに使用した拡散板とLEDが今のスマートクロックのベースになっています。時計という既製品にテクノオリジナルのアイデアを組み込むのに苦労しました。
(日本テクノエンジ U.N.)

ひたすら時刻ずれとの闘い

現場経験を活かして品質を向上させることを目的に新設された品質管理課。異動した直後に時刻ずれ問題が多発し、対応に追われる日々でした。保守対応や不具合解消からスタートしましたが、新モジュールの開発で時刻ずれ問題がひと段落したので、現在は新機能の開発に勤しんでいます。
(業務推進部 品質管理課 N.I.)

スマクロベースを開発!大事なのは現場目線

技術職での現場経験を活かし、設置時の課題解決のため、主にハード面の開発に携わりました。当初はビスで壁に引っかけていたため、衝撃や地震で落下し故障することも。有機ELタイプ開発にあわせてスマクロベースを提案し省施工、落下防止対策を実現しました!改善要望をヒアリングし決して妥協せずに議論することで、よりよいアイデアがいくつも生まれ、現在のスマートクロックに活かされています。
(第二保安本部 第三課 N.M.)

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